アトピー性皮膚炎の治療あれこれ⑤<新薬イブグリース>
投稿日時:2024年07月27日
- こんにちは!
名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。
本日は難治性のアトピー性皮膚炎に対する新しい注射薬である、イブグリースについて紹介します。
他の薬については、これまでのブログもぜひ読んでくださいね。
イブグリースも、アドトラーザと同じくIL-13サイトカイン抗体です。
まず前提として、新薬なので現在のところ、自己注射はできません!
ただ、この薬はデュピクセントやアドトラーザと異なり(これらは現在自己注射もできますが2週間おきに投与です)、コントロールがうまく行ってからは、月1回の注射にすることができます。
念のためお話ししますと、調子がよくても、投与開始4ヶ月までは、週2回が望ましいということは臨床データで示されていますので、そのようにおススメします。
その後は月1回にできるということです。
初月だけは4本打たなければならないのは、辛いところではあります😢
アトピー性皮膚炎の注射薬はどれも高額です。
病院は儲けていません。薬そのものが高いのです。
イブグリースでは、打つ本数が初月のみ4本と多いので初月の費用負担が3割の自己負担で7万円超えてしまいます。
ただ、4ヶ月過ぎてから月1回にしていくことで、1年間でみると、デュピクセントの1年目とほぼ同等の金額になります。
月1回であれば外用剤などをもらうタイミングとしても良いと思います。
もし、最終的に月1回で良いなら通院しながら注射を受けて、これまでにない良い皮膚の状態に持っていきたいという患者さまがおられましたら、おススメしたい薬です。
ちなみに、JAK阻害内服薬(リンヴォック、オルミエント、サイバインコ)、
注射剤(デュピクセント、アドトラーザ、イブグリース、ミチーガ)の全てにおいて、
これまでの治療経過が、これらの薬の適応となるかどうかに必須な情報です。
難治性のアトピーがあり、これらの薬の相談を希望されて当院へ来院される場合は、できれば紹介状を持参していただくようお願いします。
どうしても紹介状がもらえない場合は、直近6ヶ月の治療歴がわかるもの(お薬手帳)を持参していただくようお願いします。
(ミチーガについては、他の薬剤よりも短期間で4週間の治療後の導入検討が可能です。)
アトピー性皮膚炎の治療薬が、たくさん出てきて、難治だった人が快適にすごせる時代になりました。
患者さんが、高額な医療費だったり副作用が心配だったりするけれども思い切って使ってみて、
次に来院されたときに良くなっている実感があり、笑顔になられていると本当に嬉しく思います。
JAK阻害内服薬については、今年度、薬価が少し下がったりしました。
注射は短期間だけやってみるということは難しいのですが(少なくとも1年続けていただくことが推奨)、
JAK阻害内服薬については、適応を見極めた上で、短期間だけ試してみるということも可能です。
アトピー性皮膚炎の患者さんが快適に日々の生活を過ごせるように、情報提供したり、診療によってサポートしていくことにとてもやりがいを感じています。
アトピー性皮膚炎の治療では負けないぞ、といつか胸を張って言える様に、
勉強頑張ります〜!
では最後まで読んでいただきありがとうございました😊