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梅森台レオ整形外科・ヒフ科
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2023年3月 ドクターブログ一覧

アトピー性皮膚炎の治療あれこれ①<外用剤>

カテゴリ: 皮膚科

投稿日時:2023年03月16日

こんにちは!

名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。

 

最近では暖かい日も増え、さくら🌸もちらほらと芽がでてきましたね。

お花見しながら食べ歩き、なんてこともようやく今年はできるのでしょうか☺

 

さて、これまでもアトピー性皮膚炎の治療についてはブログで何度か書いてきましたが、

https://leo-clinic.jp/blog/701/

本日は、さらに進化しつづけるアトピー治療薬について、簡単に紹介します。

まずは外用剤について。

実際に使っている患者さんたちの経過なども含めてお話します。

 

まずは、以前ブログで紹介した「コレクチム軟膏」ですが

https://leo-clinic.jp/blog/581/

なんと、生後6か月のお子さんから使用が可能となりました。

これにより、どうしてもステロイド外用を使わないと肌が荒れてしまう赤ちゃんでも、

コレクチムを毎日1日2回しっかりと使うことでなんとか悪化せずに(ステロイド外用を使う量を減らせる)いけるようになりました。

そうは言っても、冬場の乾燥がひどい時期や汗などで悪くなる部位に対しては、ステロイド外用をやはり使います。

ですが、2歳未満の小さなお子さんでもステロイドに変わる治療外用剤があるということは、

「ずっとステロイドを塗り続けていいんだろうか」と不安を持つ親御さんたちにとって、とてもうれしいことです。

実際、切り替えてみるとうまくいくケースも多く、大人よりもむしろ乳児は適応としてよさそう、と感じています。

(大人は、人によってはヘルペスが出やすくなってしまったりします😢)

コレクチム軟膏は、生後6か月~2歳までのお子さんでは1日1本(5g)まで、

2歳以上であれば1日2本(10g)まで最大の使用量となっております。

 

そして、もうひとつ、「モイゼルト軟膏」(PDE4阻害薬)という外用剤もあります。

こちらは、コレクチム軟膏(JAK阻害薬)とは違った機序で、アトピー性皮膚炎の炎症をおこす物質を抑える外用剤です。

これもステロイド外用である程度落ち着いてきた場合、切り替えを提案することが多いです。

ステロイドをぬることに抵抗がある小さなお子さん(親御さん)では、

モイゼルト軟膏だけでもステロイドよりは時間がかかりますが)ゆっくりと改善してくるケースがあります。

日本で開発された外用剤であり、1.0%と0.3%製剤の2種類ありますが、

どちらも2歳以上のお子さんから使えて、1回に塗る本数の制限もとくにありません。

自分自身も軽いアトピーがあるのでモイゼルトを使用してみた印象では、

軟膏特有のべたつきや刺激が少なく、チューブも柔らかくて10gと大きいので、とても塗りやすいと感じました。

患者さんのなかには、プロトピック軟膏やコレクチム軟膏は刺激があって使えなかったけれど、

モイゼルト軟膏では刺激なく毎日使用できている方もいます。

 

コレクチムもモイゼルトも、即効性がないので、悪化させないために、毎日塗り続けることが大切です。

 

もちろん、だいぶ昔からある「プロトピック軟膏」(タクロリムス)の存在意義は大きいです。

新しい外用剤がどんどんでてきても、プロトピックが良い、と判断するケースがあります。

2歳以上のお子さんから使えます。

上記の2種と異なり、湿疹が落ち着いている場合には、週1-2回の外用でも効果があります

実際、そのような使い方で、長年苦しんでいた赤ら顔が改善し、落ち着いている方も多いです。

 

ステロイド以外の外用剤をどう使いわけているか・・・

そこは明確に学術的に決まっているわけではありません

これまでの治療経過や現在の皮疹の状況、

塗る頻度や副作用のリスクの有無など、いろいろな側面から選択します。

「ブログを読んで来院したのに新しい外用剤を薦めてくれなかったわ!」と思わないでくださいね💦

 

アトピー性皮膚炎の新しい外用剤について、簡単に紹介しました。

次回は、当院でも治療可能な

デュピクセント、ミチーガ、リンヴォック、オルミエント、サイバインコ

についてのブログを書くつもりです!!

 

では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

多汗症の治療

カテゴリ: 皮膚科

投稿日時:2023年03月02日

こんにちは!

名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。

 

寒かった冬も終わり、少しずつ暖かくなってきましたね🌸

 

暖かくなってくると、多汗症に悩まされるのが嫌だなあと、憂鬱になる方もいらっしゃると思います。

多汗症は、悩んでいる患者さんが多いのにも関わらず、病院への受診率は少ないと言われています。

少しでもこのブログを読んで、受診してみようかなと思う方がいれば幸いです。

以前のブログでも多汗症について書いているので、お時間あればぜひ読んでくださいね。

https://leo-clinic.jp/blog/758/

 

さて、原発性局所多汗症診療ガイドラインの2023年改訂版が示されました。

お悩みの場所ごとの治療について、当院の患者さまの実感を交えて少し補足をしていきたいと思います。

 

改訂版では、原発性腋窩多汗症(わき)については、

塩化アルミニウムローション※保険適応外です(当院では1本約500円/100ml)

抗コリン外用薬(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)※保険適応の処方薬です

のそれぞれが推奨度B(行うよう勧められる)に位置づけられ、まず行ってみる外用治療としてすすめられます。

併用も可能です。

エクロックゲル、ラピフォートワイプいずれも、実際使用している患者さまのほとんどが効果の実感があると言われます。

しかし、それでもなお、改善が乏しい場合には、

ボトックス注射 ※保険適応

も推奨度Bであり、当院でも行うことが可能です。後日施術の時間予約をとって行います

 

掌蹠多汗症(てのひら、あしのうら)については、

イオントフォレーシス ※保険適応(当院内では行っておりません) 推奨度B

塩化アルミニウムローション ※保険適応外 推奨度C1(Bよりは劣る)

のいずれか、または併用で治療開始がすすめられます。

当院はイオントフォレーシスの機械を導入しておらず、塩化アルミを使用してもらうことが多いです。

こちらは、使っている患者さんは効果あり;効果乏しいが半々といったところです。

塩化アルミは効果の実感が得られるまで少なくとも1週間程度はかかるため、毎日継続することが必須です。

 

実は、家庭用のイオントフォレーシスの機械は、WEBサイトなどで患者様自身で購入が可能です。

イオントフォレーシスとは何?ですが、正確な機序ははっきりとわかっていません。

ですが、電流を手や足に通電させることによって、発汗量を低下させることがわかっています。

週1回程度やっていただくことをおすすめします。

 

🌟イオントフォレーシスの治療例(日本皮膚科学会雑誌ガイドラインより引用)

初回は5~10mAの電圧に設定し、治療時間は5~10分で開始します。

痛みの感じ方により、2回目からは電圧を上げていき、治療時間も延長していきます。

(最大20mA、15分程度まで)

電極には直接触れないようにし、シリコンゴムなどで保護された備え付けの装置を使用してください。

 

頭部・顔面の多汗症については、

塩化アルミニウムローション ※保険適応外 推奨度C1

単純塗布で寝る前に外用します。目回りや口唇周囲はさけてもらうようにお願いします。

実際には、塩化アルミニウムローションでかぶれることもあると患者さんに説明すると、

積極的に使いたいという患者さんはほとんどおらず、

抗コリン薬内服 ※保険適応で処方 推奨度C1

で治療開始することが多いです。

こちらは「薬を飲まないよりは汗は減った」とおっしゃる患者さんが多いですが、真夏は内服効果が追い付かない印象です

決まった範囲内であれば飲む量をご自身で調整ができるため、1年通して調整しながら続ける患者さんが多いです。

 

これからも、多汗症でお困りのみなさんから治療の効果など、いろいろなご意見を聞いてみたいです。

よろしくお願いいたします。

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

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