ドクターブログ

梅森台レオ整形外科・ヒフ科
ドクターブログです

アトピー性皮膚炎の治療あれこれ③<後編>

カテゴリ: 皮膚科

投稿日時:2023年09月14日

こんにちは!

名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。

 

前回の<前編>から5か月も空いてしまいました・・・💦

なんどもブログの下書きして修正を重ねてようやく投稿です!

 

大変お待たせしました!!

はじめてこのブログにたどり着いた方は、ぜひ前編や外用剤編も読んでください。

https://leo-clinic.jp/blog/926/

https://leo-clinic.jp/blog/956/

 

さっそくですが、実際の患者さんのことなどもふまえてお話します。

※当院では、以下の薬剤は、重症度に応じて、治療適応条件を満たした患者さんのみに使っております。

当院で胸部レントゲン撮影、採血なども含めて、検査を完結することが可能です。

※ここに記載した内容以外にも注意点はありますので、実際の診療で治療を検討する際に医師から説明いたします。

 

デュピクセント(注射剤)

特徴として、自己注射薬でありながら、安全性がとても高いです。

検査は投与前に血液検査を行うことは重症度の把握のために行うことが多いですが、その後は基本的には不要です。

効き目はJAK阻害内服薬に比べると即効性はなく、ゆっくりですが、

それでも1回目の投与後から、まずはかゆみが楽になったとおっしゃる患者さんが多いです。

当院でデュピクセントを打っている患者さんは10代~70代と幅広いです。

当院では、自己注射指導もしっかりと行います。(初回、2回目、多いときは3回目まで医師が目の前で指導します)

副作用は、アレルギー性結膜炎が比較的多くみられますが、点眼薬で改善する軽症のケースが多いです。

しかし、目症状が改善せず、中止せざるを得なかった患者さんもおられました。

中止した場合、打ったことが無駄になるか?といえば、そうではありません

デュピクセントを投与したことによって今までにないレベルにアトピーの皮疹が改善したため、

デュピクセントを中止をしたあとも、なんとか外用剤などを駆使して、ひどい状態に戻ることなく、

比較的良い状態を維持することができるようになりました。

ただ、3か月で金銭的にやはり継続困難とのことでやめてしまった患者さんでは、

皮疹は一時的にはよくなりましたが、悪化=再燃は早かったです。

デュピクセントを打つ場合、最低1年間は継続すること、それが再燃をなるべくさせないために必要な期間と考えられます。

臨床データとして、デュピクセントを続けるほどに、炎症性サイトカインが抑えられていくこともわかっています。

アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでも、寛解を維持する治療法として、デュピクセントを継続することがすすめられています。

当院で開始した患者さんでも、長い方は3年以上続けており、約3か月に1回程度の受診で良い状態を維持できています。

※ちなみに、難治性の結節性痒疹に対してもデュピクセントが保険適応となりました。

後日ブログでご紹介できればと思います。

 

JAK阻害内服薬

種類として、オルミエントリンヴォックサイバインコの3種類があります。

 

効き目では、リンヴォック15㎎錠の効果は高いと実感します。

1日飲んだだけでかゆみが翌日なくなったという人もいます。

しかし、最重症の患者さん(ストロングクラス以上のステロイドを塗っても全くおさまらないような方)では

リンヴォック15㎎でも少しはよいが満足するほどにはコントロールできず、

最終的に30㎎錠を必要とすることがあります

その場合には、当然薬代も高くなります😢

 

ストロングクラス以上のステロイド外用を塗るとよくなるけれども、薬がきれたり、弱いものにすると悪くなる・・

というような最重症とまではいかない方は、オルミエントがお勧めかもしれません。

オルミエントには、4㎎錠と、2㎎錠の2種類があります。15歳以上で投与が可能です。

オルミエント4㎎≒リンヴォック15㎎のような感覚ですが、

アトピーの症状が落ち着いてきた場合には、2㎎錠へ減らすことが可能な場合があります。

すると当然、薬代は半分近くになります。

ここであえて「可能な場合」と書きましたのは、

実際の患者さんでは、2㎎に減らしたとたんにコントロールが悪くなることもありました。

ただ、それは悪くなる時期(季節なども関係あります)だったということもあるかもしれません。

 

サイバインコの特徴としては、

アトピー性皮膚炎に特化して作られたお薬で、

12歳以上であれば体重関係なく、100㎎、200㎎錠のいずれも投与ができます。

(※リンヴォックも12歳以上で投与できますが、体重30㎏以上で、15㎎錠のみが可能という制限があります。)

サイバインコ100㎎≒リンヴォック15㎎

サイバインコ200㎎≒リンヴォック30㎎

のような感覚なので、12歳以上の方で、最重症の場合は、選択肢としてあげられます

副作用として、ほかの2種類にはあまり見られない「悪心・嘔吐」が投与開始1~2週間ではみられやすいです。

 

JAK阻害内服薬の共通する注意点としましては、定期的に血液検査や必要に応じてレントゲン検査が必要です。

感染症とたたかうために必要な好中球やリンパ球や血小板数が下がったりすることがあるからです。

また、JAK阻害内服薬の投与中や投与直前には生ワクチンを接種できませんので注意してください。

妊娠中であったり、妊娠している可能性がある女性には投与ができません

 

最後に、もしこのような薬を考えたいと希望されている患者さんがいましたら、

これまでの治療経過・投薬内容がわかる紹介状や薬手帳を持参していただくようお願いいたします。

 

なんだか長い文章ばかりのブログですみません!

やっと書き終えてほっとしています。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました☺

 

 

 

 

 

7月1日からの美容皮膚科の一部料金改定

カテゴリ: 美容皮膚科

投稿日時:2023年06月25日

こんにちは!

名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。

 

昨今の世界情勢から、美容皮膚科で使用する原材料のコストアップが続いております。

大変心苦しいのですが、7月1日より一部の料金を改定させていただきます。

一部、値下げの施術もありますよ!!

 

新料金は以下のとおりです。すべて税込み価格です。

①ヴァンキッシュME

4回セット 44,000円

※4回セットを手軽な料金で施術をさせていただきます。

 

②ダーマペン

ベーシック 鼻のみ 13,200円

ヴェルベットスキン 鼻のみ 16,500円

アグレッシブ 鼻のみ 14,300円

※鼻の料金をすべて値上げとさせていただきます。ほかの部位は現行通りです。

 

③ボトックス

眉間+目じりセット ボトックスビスタ 38,500円

BTS-A9 29,700円

※お得なセット料金を作りました。時間帯に関わらず一律です。

 

④リフテラ

全顔1回 7500ショット 49,500円

全顔1か月リピーター 7500ショット 44,550円

全顔3回セット 7500ショット×3回 125,400円(41,800円/回)

目回り 2000ショット 19,800円

※特別なトレーニングを受けたスペシャリティナースによる安全な施術となります。

※これまでよりもショット数が増え、顔で気になる左右差に合わせて打ち方の調整が可能です。

※ナース施術になったことにより、これまでよりもご予約が取りやすくなると考えております。

 

改定されるものは、以上です。

 

リフテラは、現在も多くのリピーター様にご予約をいただいております。

すでにご予約いただいているお客様については、予約日より前に当院から電話でご連絡をいたします。

その際に、旧料金適用の有無についてのご案内がありますので、お待ちください。

 

今後も、お客様のニーズを的確に把握し、ひとりひとりに適した施術を、確かな技術力を持って提供できるよう、努めてまいります。

 

では、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

 

足底筋膜炎の治療

カテゴリ: リハビリ 整形外科

投稿日時:2023年06月07日

こんにちは!

名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、梅森台レオ整形外科・ヒフ科の院長の大口怜央です。

本日はしつこい踵や足の裏の痛みの原因となる足底筋膜炎の治療法についてご紹介いたします。

 

「足底筋膜炎」は足の裏にある筋肉の分厚い膜である足底筋膜に炎症を起こして痛みを発症する疾患です。原因は長時間の立位、歩行、スポーツによって足底筋膜に過剰なストレスがかかることによって発症します。また合わない靴を履いていたり、土踏まずが盛り上がらない偏平足の方にも発症しやすい疾患です。痛みの出る部位は足の裏の踵部が好発部位ですが土踏まずや足底の先端部など様々な部位に発症します。

 

治療としては負担がかかることによって発症する炎症が原因なので、当然「安静」が一番なのですが、足は日常生活で常に体重を支えてくれているため安静に保つことが難しく、常に荷重歩行による負担にさらされてしまいます。仕事をされている方、日々忙しい方などはなお安静が難しく、一度発症すると歩くたびに足底に痛みを感じるため大変ストレスになります。

「安静」以外のの治療としては…

 

①薬物療法 湿布や消炎鎮痛薬(痛み止め)の使用

②靴の調整 靴のインソールの作成、踵にクッション性の素材を入れるなどの対応

③リハビリテーション 足のストレッチ、マッサージ、足底筋の筋力トレーニング、テーピング指導

④体外衝撃波治療法

 

当院では最新の治療である「体外衝撃波治療機器」を導入しております。これは特殊な衝撃波を患部に照射することによって痛みの伝達物質を破壊し、組織の再生を促し痛みを改善させる治療です(画像参照)。副作用がほとんどなく、未成年にも使用できる優れものです。当院では保険適応内で治療を行っており、日を改めてtotal5回照射します。しつこい踵の痛みが取れるため患者様からは大変ご好評をいただいております。施術は予約制となっており、まずは院長である私の外来を受診してください。

 

 

歩行は日常生活で欠かせない動作であり、痛みを我慢しながらの生活は大変ストレスを伴います。長引く痛みに悩んでいる方は是非一度当院にご相談ください。

 

手の多汗症のあたらしい治療薬

カテゴリ: 皮膚科

投稿日時:2023年05月27日

こんにちは!

名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。

 

前回ブログで多汗症の治療について書きました。

https://leo-clinic.jp/blog/918/

 

今回は、6月1日に新しく発売される手掌の多汗症の治療薬について紹介します☻

名前は「アポハイドローション20%

手汗で悩む患者さんにとって、保険適応の外用治療薬が発売開始となったことはとても嬉しいことです。

 

薬の作用の仕方を説明します。

アポハイドローションの有効成分である「オキシブチニン塩酸塩」が、

手掌のエクリン汗腺に発現しているムスカリン受容体に結合することにより、

汗を出す信号の「アセチルコリン」が受容体に結合することを防ぐ=「抗コリン作用」を発揮し、汗を抑えます。

説明、難しいですかね💦

 

塩化アルミニウムローション(自費、当院と連携の薬局では1本500円程度)が、物理的に汗腺をふさぎ発汗を防ぐものだとすると、

アポハイドローション(保険適応)は、薬物の作用で発汗にみちびく信号そのものを止めると思ってください。

腋窩多汗症のエクロックゲルやラピフォートワイプと同じような作用機序となります。

 

塗り方は、1日1回就寝前に両手をすりあわせて塗ります

ほぼ透明のローションでさらっとした使用感で、すぐに乾いてくれます。

 

成人だけでなく、小児のお子さんも使えるのですが、

注意したいところは「その手は洗い流さないですぐに寝ること

起床するまで眼などにふれないようにすること

これを守っていただけるならば、お子さんも使えます。

 

抗コリン作用を有している薬なので、目に入ってしまうと眼の調節障害などが起きてしまう可能性があります。

そのほかの副作用としては、外用による皮膚炎(かぶれ)、

抗コリン作用によって、口渇感なども頻度は5%以下と少ないですがありえます。

 

新薬なので、1年間は1回の診察につき2本(2週間分)ずつしか処方できませんので、

ご留意ください!!

 

新薬を処方する際には、

医師は、使った患者さんの効果のほかにも、副作用のチェックなどが必要となっており、

副作用がでた場合には製薬会社に報告しているのです。

なので、ご足労かけますが、2週間おきに来てくださいね。

新しい薬をつかってみて、どうだったか、診察のときにぜひ教えてください!!!

 

では、最後まで読んでいただきありがとうございました💙

 

 

 

 

アトピー性皮膚炎の治療あれこれ②<デュピクセントとJAK阻害内服薬>前編

カテゴリ: 皮膚科

投稿日時:2023年04月27日

こんにちは!

名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。

 

本日は、「これまでの治療で効果が不十分なアトピー性皮膚炎」の治療薬である、

デュピクセント(抗IL4、IL13受容体モノクローナル抗体・注射剤)

リンヴォック(JAK1阻害内服薬)

オルミエント(JAK1/2阻害内服薬)

サイバインコ(JAK1阻害内服薬)

について、簡単にご紹介します。

 

まず、これらの治療薬を使うかどうかは、どちらかというと医師側から提案することが多いです。

ときどき他院かかりつけの患者さんが、上記治療を希望して当院へ来院されますが、

いったんは外用剤を変えてみたり、内服薬を変えてみたりして、湿疹がよくなって、結果的に使わずに済む人もいます

 

基本的に、「半年間」「強いステロイド外用剤」をしっかりと塗っていても改善しない人、というのが条件としてあります。

ほかには、灼熱感などでどうしても外用剤が使えない方も対象となります。

 

なので、いきなり当院へ来ていただいても当日に「じゃあやりましょう」とはなることは、ありません。

これまでの治療内容がわかるお薬手帳や紹介状などを持参してきていただくようお願いいたします。

そのうえで、条件があてはまり、症状がひどければ、当日から上記治療の話をすることもあります。

 

そして、すべての薬がかなり高額です💦

(※薬価改定により今後変動はありえます)

ひと月分のJAK阻害内服薬の薬代は、3割負担の方で、43000円前後くらいです。

デュピクセントは少し薬価が下がったので、1本が3割負担の方で18000円前後であります。

(月2本で36000円前後、月3本の場合は54000円前後)

 

医師からも薦められて、使ってみたいけども、金額面で不安・・・という場合は、

国の高額療養費制度の対象ともなっていますので、一度調べてみてください。

以下に厚生労働省の高額療養費制度についてのサイトをのせておきます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

 

当院では、JAK阻害内服薬をはじめるにあたって必須である、

①血液検査(結核を含む)

②胸部レントゲン検査

が院内で当日にできます!!

整形外科と一緒のクリニックなので(通常の皮膚科ではレントゲンはありません)胸部レントゲンが当日とれます。

すべての検査結果の説明は1週間後にさせていただいており、最短で結果説明をした日から投与開始できます。

 

私自身も、院内ですべての検査ができるので、

デュピクセントとJAK阻害内服薬の使い分けにもだいぶ慣れていると自負しております。

「デュピクセントは検査もいらず、効き目もよく、非常に良い注射剤だが、

JAK阻害内服薬のほうが、より効き目が速く、症状が落ち着いたら減量もでき、中止も1年以内に検討もできるので、JAK阻害内服薬を選択したほうがよいのではないか」

「JAKもよいけど、もともとヘルペスもできやすいし、にきびもあるし、デュピクセントのほうが副作用は少なく安全かもしれないですね。まずはデュピクセントからやってみましょうか」

などと、患者さんと相談しながら、症状に合わせて、治療計画を立てています

 

それ以外にも、薬剤の選択には、患者さんの通院できる頻度もかなり関係してきます。

JAK阻害薬は定期的に採血をして、血球減少などの副作用が起きていないか確認する必要があります。

当院にかかっている患者さまはきちんと検査をうけてくださっており、

いまのところ重篤な副作用で中止となった患者さまはいません。

ただ、アトピーの湿疹がよくなっても、ヘルペスやにきびがひどくなる人はいます。

それに対しても治療を行います。

 

めちゃくちゃ長くなってきました・・・目がバキバキになってきました・・

とりあえずここまでを<前編>としていったん終わりにさせていただきます。。

 

次回は、JAK阻害内服薬のそれぞれの特徴などもお知らせしたいと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうござました。

 

 

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