こんにちは!
名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。
前回の<前編>から5か月も空いてしまいました・・・💦
なんどもブログの下書きして修正を重ねてようやく投稿です!
大変お待たせしました!!
はじめてこのブログにたどり着いた方は、ぜひ前編や外用剤編も読んでください。
https://leo-clinic.jp/blog/926/
https://leo-clinic.jp/blog/956/
さっそくですが、実際の患者さんのことなどもふまえてお話します。
※当院では、以下の薬剤は、重症度に応じて、治療適応条件を満たした患者さんのみに使っております。
※当院で胸部レントゲン撮影、採血なども含めて、検査を完結することが可能です。
※ここに記載した内容以外にも注意点はありますので、実際の診療で治療を検討する際に医師から説明いたします。
①デュピクセント(注射剤)
特徴として、自己注射薬でありながら、安全性がとても高いです。
検査は投与前に血液検査を行うことは重症度の把握のために行うことが多いですが、その後は基本的には不要です。
効き目はJAK阻害内服薬に比べると即効性はなく、ゆっくりですが、
それでも1回目の投与後から、まずはかゆみが楽になったとおっしゃる患者さんが多いです。
当院でデュピクセントを打っている患者さんは10代~70代と幅広いです。
当院では、自己注射指導もしっかりと行います。(初回、2回目、多いときは3回目まで医師が目の前で指導します)
副作用は、アレルギー性結膜炎が比較的多くみられますが、点眼薬で改善する軽症のケースが多いです。
しかし、目症状が改善せず、中止せざるを得なかった患者さんもおられました。
中止した場合、打ったことが無駄になるか?といえば、そうではありません。
デュピクセントを投与したことによって今までにないレベルにアトピーの皮疹が改善したため、
デュピクセントを中止をしたあとも、なんとか外用剤などを駆使して、ひどい状態に戻ることなく、
比較的良い状態を維持することができるようになりました。
ただ、3か月で金銭的にやはり継続困難とのことでやめてしまった患者さんでは、
皮疹は一時的にはよくなりましたが、悪化=再燃は早かったです。
デュピクセントを打つ場合、最低1年間は継続すること、それが再燃をなるべくさせないために必要な期間と考えられます。
臨床データとして、デュピクセントを続けるほどに、炎症性サイトカインが抑えられていくこともわかっています。
アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでも、寛解を維持する治療法として、デュピクセントを継続することがすすめられています。
当院で開始した患者さんでも、長い方は3年以上続けており、約3か月に1回程度の受診で良い状態を維持できています。
※ちなみに、難治性の結節性痒疹に対してもデュピクセントが保険適応となりました。
後日ブログでご紹介できればと思います。
②JAK阻害内服薬
種類として、オルミエント、リンヴォック、サイバインコの3種類があります。
効き目では、リンヴォック15㎎錠の効果は高いと実感します。
1日飲んだだけでかゆみが翌日なくなったという人もいます。
しかし、最重症の患者さん(ストロングクラス以上のステロイドを塗っても全くおさまらないような方)では
リンヴォック15㎎でも少しはよいが満足するほどにはコントロールできず、
最終的に30㎎錠を必要とすることがあります。
その場合には、当然薬代も高くなります😢
ストロングクラス以上のステロイド外用を塗るとよくなるけれども、薬がきれたり、弱いものにすると悪くなる・・
というような最重症とまではいかない方は、オルミエントがお勧めかもしれません。
オルミエントには、4㎎錠と、2㎎錠の2種類があります。15歳以上で投与が可能です。
オルミエント4㎎≒リンヴォック15㎎のような感覚ですが、
アトピーの症状が落ち着いてきた場合には、2㎎錠へ減らすことが可能な場合があります。
すると当然、薬代は半分近くになります。
ここであえて「可能な場合」と書きましたのは、
実際の患者さんでは、2㎎に減らしたとたんにコントロールが悪くなることもありました。
ただ、それは悪くなる時期(季節なども関係あります)だったということもあるかもしれません。
サイバインコの特徴としては、
アトピー性皮膚炎に特化して作られたお薬で、
12歳以上であれば体重関係なく、100㎎、200㎎錠のいずれも投与ができます。
(※リンヴォックも12歳以上で投与できますが、体重30㎏以上で、15㎎錠のみが可能という制限があります。)
サイバインコ100㎎≒リンヴォック15㎎
サイバインコ200㎎≒リンヴォック30㎎
のような感覚なので、12歳以上の方で、最重症の場合は、選択肢としてあげられます。
副作用として、ほかの2種類にはあまり見られない「悪心・嘔吐」が投与開始1~2週間ではみられやすいです。
JAK阻害内服薬の共通する注意点としましては、定期的に血液検査や必要に応じてレントゲン検査が必要です。
感染症とたたかうために必要な好中球やリンパ球や血小板数が下がったりすることがあるからです。
また、JAK阻害内服薬の投与中や投与直前には生ワクチンを接種できませんので注意してください。
妊娠中であったり、妊娠している可能性がある女性には投与ができません。
最後に、もしこのような薬を考えたいと希望されている患者さんがいましたら、
これまでの治療経過・投薬内容がわかる紹介状や薬手帳を持参していただくようお願いいたします。
なんだか長い文章ばかりのブログですみません!
やっと書き終えてほっとしています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました☺