多汗症の治療
カテゴリ: 皮膚科
投稿日時:2023年03月02日
こんにちは!
名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。
寒かった冬も終わり、少しずつ暖かくなってきましたね🌸
暖かくなってくると、多汗症に悩まされるのが嫌だなあと、憂鬱になる方もいらっしゃると思います。
多汗症は、悩んでいる患者さんが多いのにも関わらず、病院への受診率は少ないと言われています。
少しでもこのブログを読んで、受診してみようかなと思う方がいれば幸いです。
以前のブログでも多汗症について書いているので、お時間あればぜひ読んでくださいね。
https://leo-clinic.jp/blog/758/
さて、原発性局所多汗症診療ガイドラインの2023年改訂版が示されました。
お悩みの場所ごとの治療について、当院の患者さまの実感を交えて少し補足をしていきたいと思います。
改訂版では、原発性腋窩多汗症(わき)については、
①塩化アルミニウムローション※保険適応外です(当院では1本約500円/100ml)
②抗コリン外用薬(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)※保険適応の処方薬です
のそれぞれが推奨度B(行うよう勧められる)に位置づけられ、まず行ってみる外用治療としてすすめられます。
併用も可能です。
エクロックゲル、ラピフォートワイプいずれも、実際使用している患者さまのほとんどが効果の実感があると言われます。
しかし、それでもなお、改善が乏しい場合には、
③ボトックス注射 ※保険適応
も推奨度Bであり、当院でも行うことが可能です。後日施術の時間予約をとって行います。
掌蹠多汗症(てのひら、あしのうら)については、
①イオントフォレーシス ※保険適応(当院内では行っておりません) 推奨度B
②塩化アルミニウムローション ※保険適応外 推奨度C1(Bよりは劣る)
のいずれか、または併用で治療開始がすすめられます。
当院はイオントフォレーシスの機械を導入しておらず、塩化アルミを使用してもらうことが多いです。
こちらは、使っている患者さんは効果あり;効果乏しいが半々といったところです。
塩化アルミは効果の実感が得られるまで少なくとも1週間程度はかかるため、毎日継続することが必須です。
実は、家庭用のイオントフォレーシスの機械は、WEBサイトなどで患者様自身で購入が可能です。
イオントフォレーシスとは何?ですが、正確な機序ははっきりとわかっていません。
ですが、電流を手や足に通電させることによって、発汗量を低下させることがわかっています。
週1回程度やっていただくことをおすすめします。
🌟イオントフォレーシスの治療例(日本皮膚科学会雑誌ガイドラインより引用)
初回は5~10mAの電圧に設定し、治療時間は5~10分で開始します。
痛みの感じ方により、2回目からは電圧を上げていき、治療時間も延長していきます。
(最大20mA、15分程度まで)
電極には直接触れないようにし、シリコンゴムなどで保護された備え付けの装置を使用してください。
頭部・顔面の多汗症については、
①塩化アルミニウムローション ※保険適応外 推奨度C1
単純塗布で寝る前に外用します。目回りや口唇周囲はさけてもらうようにお願いします。
実際には、塩化アルミニウムローションでかぶれることもあると患者さんに説明すると、
積極的に使いたいという患者さんはほとんどおらず、
②抗コリン薬内服 ※保険適応で処方 推奨度C1
で治療開始することが多いです。
こちらは「薬を飲まないよりは汗は減った」とおっしゃる患者さんが多いですが、真夏は内服効果が追い付かない印象です。
決まった範囲内であれば飲む量をご自身で調整ができるため、1年通して調整しながら続ける患者さんが多いです。
これからも、多汗症でお困りのみなさんから治療の効果など、いろいろなご意見を聞いてみたいです。
よろしくお願いいたします。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!