アトピー性皮膚炎の新しい外用薬
カテゴリ: 皮膚科
投稿日時:2020年07月15日
こんにちは!
名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。
今日は、6月末から使用できるようになった、
アトピー性皮膚炎の新外用薬「コレクチム軟膏」をご紹介します。
長い間、アトピー性皮膚炎の外用薬といえば、
ステロイド軟膏、保湿剤、プロトピック軟膏だけが主流でした。
コレクチム軟膏は、そのどれとも全く違っており、
「ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬」という分類になります。
なんと!!世界にさきがけて、日本ではじめて承認された新外用薬なのです。
経口剤としては、すでに関節リウマチや潰瘍性大腸炎で使用されていますが、
外用薬は、はじめてなのです。
簡単に作用機序を説明します。
JAKファミリーは、炎症性サイトカイン受容体に結合し、炎症をおこすサイトカインシグナルを伝えるのですが、
コレクチム軟膏は、JAKファミリーのキナーゼ(酵素)のすべてを阻害して、免疫や炎症の暴走を抑制し、かきむしる行動も抑えることにつながります。
いまのところは、アトピー性皮膚炎で16歳以上の方のみが保険適応ですが、
今後は他の皮膚疾患や、小児にも適応が拡大される可能性があるそうです。
当院でも、すでに処方を開始しております。
副作用として、どうしても免疫をおさえるせいで、「にきび」「ヘルペス」など起こしやすくなってしまいます。頻度は、3%程度です。
また、コレクチム軟膏でかぶれる、という副作用も4%程度あります。
ただし、かぶれたのか、アトピーの悪化なのかは、判断が難しいところにもなりますので、
ご相談ください。
新しい薬が、アトピーの皮膚炎を改善方向へ導いてくれますように!
残念ながら、新薬のため、コレクチム軟膏については、2週間分の処方が限度となります。
ステロイドや保湿剤なども併用し、部位によって使い分けていきましょう。