多汗症の診断と治療について
カテゴリ: 皮膚科
投稿日時:2022年06月22日
こんにちは!
名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。
今日は「原発性多汗症」の診断と治療についてのお話です。
実は、多汗症にも原発性と続発性とあるのですが、
原発性は、原因となるような病気がないのに「両側性」に多汗症の状態を言います。
なので、まず、からだの片側だけ多汗症というひとは、腫瘍による神経の圧迫などが原因のこともあるので、画像検査などの精査が必要です。
ほかにも、内分泌系の疾患などで多汗症となっている場合は、原因となっている病気を治療しないといけません。
原因となる病気がない「原発性多汗症」の診断としては、
以下の6症状のうち2つ以上あてはまっていれば、診断確定となります。
①最初に症状がでたのが25歳以下である
②対称性(両側性)に発汗がある
③睡眠中は発汗が止まっている
④1週間に1回以上の多汗のエピソードがある
⑤家族歴がある
⑥発汗過多により、日常生活に支障をきたしている
さらに、治療にあたっては、重症度の判定(Hyperhidrosis disease severity scale:HDSS)が必要です。
①発汗がほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
②発汗が我慢できず、日常生活につねに支障がある
このいずれかに該当するひとは、「重症の多汗症」と診断できます。
簡単にいうと、止めようと思っても汗が勝手にでてきてしまい、
汗ジミをきにして服選びに苦労したり、
ペンやマウスが汗でしめってしまって困るような事態が、頻繁もしくはいつもおこっているような状態です。
小学生のお子さんなどでは、重症ではなくとも、手足にうすい皮めくれがおこったり、
診察時にみてみると、手のひら全体に汗をかいていて、
話をよくきくとプリントが濡れて困るなどというエピソードもあったりします。
当院では、治療として、2015年の原発性局所多汗症診療ガイドラインに沿って、
手足ワキすべてにおいて、塩化アルミニウムローション(自費ですが安価です)を中心に治療してきました。
ですが、この診療ガイドラインは、新しい外用剤の登場(抗コリン剤の外用薬)により、今後改定予定です。
抗コリン剤外用薬は保険適応でもあり、重症のワキの多汗症に関しては治療の中心になってくると思われます。
当院でも、あたらしい抗コリン剤の外用を処方しております。
(いまのところ「重症」の「腋窩」多汗症だけの保険適応なのでご了承ください💦)
2種類(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)あります。
どちらも効き目はとても良いです。
エクロックゲルは、12歳以上から処方可能です。
手をよごさずに塗ることができます。
ゲル基剤なので、かぶれてしまう方がときどきいらっしゃいます。
製薬会社がとても丁寧なサイトを作っております。詳しくは以下をご覧ください。
ラピフォートワイプは、9歳以上から処方可能です。
1回分ずつ個包装のシート状のもので使いやすい反面、
手についた薬剤をしっかり洗い流すことが大事です。
こちらも製薬会社がわかりやすいサイトを作っております。
https://www.maruho.co.jp/kanja/wakiase/
手足の多汗症や、重症とまでいかない患者さんには、塩化アルミニウムローションも引き続きご案内しています。
塩化アルミニウムローションも、正しい使い方をしてもらうと、効き目よいですよ!
物理的に汗腺をふさいでいくものなので、効果がでるまで数日~2週間程度と少し時間がかかります。
コツは、しっかりと汗をふいてから、丁寧に塗ること。
寝る前などに(ひどいひとは朝も)汗をきちんと拭いてから、ガーゼやコットンにひたしてしっかりと丁寧につけてくださいね✨
抗コリン内服薬(プロ・バンサイン)も処方しています。
少ないですが、口渇や便秘になるなどの副作用がおこりえます。
こちらも保険適応ですが、全身性多汗症の方で、慎重に適応を決めています。
多汗症で、いままで人に相談できず困っていたという方は、ぜひお気軽に、相談してくださいね。
お待ちしています。