アトピー性皮膚炎の治療あれこれ②<デュピクセントとJAK阻害内服薬>前編
カテゴリ: 皮膚科
投稿日時:2023年04月27日
こんにちは!
名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。
本日は、「これまでの治療で効果が不十分なアトピー性皮膚炎」の治療薬である、
①デュピクセント(抗IL4、IL13受容体モノクローナル抗体・注射剤)
②リンヴォック(JAK1阻害内服薬)
③オルミエント(JAK1/2阻害内服薬)
④サイバインコ(JAK1阻害内服薬)
について、簡単にご紹介します。
まず、これらの治療薬を使うかどうかは、どちらかというと医師側から提案することが多いです。
ときどき他院かかりつけの患者さんが、上記治療を希望して当院へ来院されますが、
いったんは外用剤を変えてみたり、内服薬を変えてみたりして、湿疹がよくなって、結果的に使わずに済む人もいます。
基本的に、「半年間」「強いステロイド外用剤」をしっかりと塗っていても改善しない人、というのが条件としてあります。
ほかには、灼熱感などでどうしても外用剤が使えない方も対象となります。
なので、いきなり当院へ来ていただいても当日に「じゃあやりましょう」とはなることは、ありません。
これまでの治療内容がわかるお薬手帳や紹介状などを持参してきていただくようお願いいたします。
そのうえで、条件があてはまり、症状がひどければ、当日から上記治療の話をすることもあります。
そして、すべての薬がかなり高額です💦
(※薬価改定により今後変動はありえます)
ひと月分のJAK阻害内服薬の薬代は、3割負担の方で、43000円前後くらいです。
デュピクセントは少し薬価が下がったので、1本が3割負担の方で18000円前後であります。
(月2本で36000円前後、月3本の場合は54000円前後)
医師からも薦められて、使ってみたいけども、金額面で不安・・・という場合は、
国の高額療養費制度の対象ともなっていますので、一度調べてみてください。
以下に厚生労働省の高額療養費制度についてのサイトをのせておきます。
当院では、JAK阻害内服薬をはじめるにあたって必須である、
①血液検査(結核を含む)
②胸部レントゲン検査
が院内で当日にできます!!
整形外科と一緒のクリニックなので(通常の皮膚科ではレントゲンはありません)胸部レントゲンが当日とれます。
すべての検査結果の説明は1週間後にさせていただいており、最短で結果説明をした日から投与開始できます。
私自身も、院内ですべての検査ができるので、
デュピクセントとJAK阻害内服薬の使い分けにもだいぶ慣れていると自負しております。
「デュピクセントは検査もいらず、効き目もよく、非常に良い注射剤だが、
JAK阻害内服薬のほうが、より効き目が速く、症状が落ち着いたら減量もでき、中止も1年以内に検討もできるので、JAK阻害内服薬を選択したほうがよいのではないか」
「JAKもよいけど、もともとヘルペスもできやすいし、にきびもあるし、デュピクセントのほうが副作用は少なく安全かもしれないですね。まずはデュピクセントからやってみましょうか」
などと、患者さんと相談しながら、症状に合わせて、治療計画を立てています。
それ以外にも、薬剤の選択には、患者さんの通院できる頻度もかなり関係してきます。
JAK阻害薬は定期的に採血をして、血球減少などの副作用が起きていないか確認する必要があります。
当院にかかっている患者さまはきちんと検査をうけてくださっており、
いまのところ重篤な副作用で中止となった患者さまはいません。
ただ、アトピーの湿疹がよくなっても、ヘルペスやにきびがひどくなる人はいます。
それに対しても治療を行います。
めちゃくちゃ長くなってきました・・・目がバキバキになってきました・・
とりあえずここまでを<前編>としていったん終わりにさせていただきます。。
次回は、JAK阻害内服薬のそれぞれの特徴などもお知らせしたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうござました。