乾癬の治療①<オテズラ>
カテゴリ: 皮膚科
投稿日時:2024年11月13日
- こんにちは!
名古屋市天白区、名東区、日進市の境目にある、整形外科、リハビリ科、リウマチ科、皮膚科、美容皮膚科クリニック、
梅森台レオ整形外科・ヒフ科 副院長の大口亮子です。
今日は「乾癬」という病気の治療について、
乾癬の内服薬「オテズラ」と絡めて、紹介していきます。
乾癬は、特徴的な皮疹から、皮膚科専門医であれば診断することは比較的簡単です。
私自身は皮膚科専門医でもあり、
名古屋市立大学皮膚科の大学病院で乾癬の入院患者さんを多数担当させていただきましたので、
診断することにあまり迷いはありません。
ですが、近年流行ってきている「梅毒」やその他の皮膚病と鑑別が難しい場合には、
採血を行ったり、皮膚生検といって皮膚を少しだけ切除して病理検査に出し、
まずは乾癬かどうか診断を確定させる必要があります。
乾癬は、一見すると皮膚だけの病気に見えますが、
体の中で起きていることは
免疫バランスの異常(炎症性サイトカインやT細胞などが過剰に働いている)
です。
それにより、皮膚は粉をつけた状態で厚くなり、赤み、痒みなどの見た目を呈します。
そして、その免疫バランスの異常が体内で長引くことによって、
皮膚だけでなく、全身の臓器(心臓、脳、関節、腸など)にも影響を及ぼしてしまい、
将来、心筋梗塞や脳卒中を発症するリスクが高くなると報告されています。
当院では、まずは外用薬での治療をスタートし、
治りにくい部分があれば、光線治療(紫外線照射:保険適応)も行うことがあります。
そして、それでもコントロールが不良な場合(目安は最後の方に書きますね)や、
爪や頭の症状が強い場合には、オテズラ内服をまず薦めています。
「オテズラ」は、PDE4阻害内服薬であり、注射剤ほど高額ではありません。
※目安として、3割負担の患者さんで1ヶ月分のオテズラで17000円弱
オテズラには、免疫バランスを「調整する」作用があります。
大事なのは、「免疫抑制」ではなく、調整なので、
免疫が抑制されるような副作用がありません。
飲み始めの2〜4週間程度に、下痢や吐き気、頭痛などの副作用が起こることがありますが、
ほとんどの方では、整腸剤や吐き気どめで対応できます。
効果が出るまでには、個人差があり、
最初からよく効く人と、数ヶ月経ってから効いてくる人とあります。
残念ながら無効な人も10%くらいあります。
禁忌としては、妊婦・授乳中の方です。
高齢者でも安全に飲めるところが、推せる薬⭐️です。
ちなみに「コントロール不良ってどの程度か?」
その疑問が、先日のオテズラの勉強会で明らかになっていました。
だいたいの目安として「外用薬を1日10〜15分以上かけて塗っている」
「4週間経っても、治療満足度が低い(症状、精神的、肉体的、社会的)」など。
個人的には、「外用塗る時間がたくさんかかる」ということ自体、
コントロール不良と捉えるべきなのだということに気付かされました。
医者はくすりを塗る所要時間まで聞くべきだったのです。。
まだまだ未熟でした。。。
忘れずに聞けるかしら・・・😅
これを読んだ乾癬の患者さんはぜひ塗る所要時間を申告してください!!
ちなみにですが、
これまでは、外用で全くコントロールできない重症な乾癬の患者さんで、
分子標的薬(注射薬)をおススメする場合には、
CT検査が必要になるので、大学病院などへ紹介していました。
しかし、この度、皮膚科学会による「乾癬に対する注射の導入施設基準」が緩和されたため、
当院も届出を行い、
ILー17、ILー23製剤については、注射薬の導入も行うことが可能となりました。
胸部CT検査は近隣の病院で受けていただくことにはなります。
それでは、長くなりましたが、
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
乾癬の治療にお悩みの患者さんは、ぜひご相談ください。